「いまバスケマンガが熱い」ということで、バスケマンガを数作読み、第1話にどんなメッセージが込められているか考えます。3作目は「つばめティップオフ!」です。

【タイトル】
 つばめティップオフ!
【著者】
 ワタヌキヒロヤ (WATANUKI HIROYA)
【出版社】
 フレックスコミックス
【配信情報】
 1~5巻 (第1部完)
【第1話のボイコミ】

190cm文化系女子のバスケ

高校1年生の春野ツバメちゃんは190cmの高身長で、脚も腕もスラリと長いです。まさにバスケをするために生まれてきたようなフィジカルですが、めっちゃどんくさく、めっちゃ内気で、茶道を嗜む文化系女子です。
密かに憧れていた美人のアイビス先輩にバスケ部に誘われ、着物で茶道をすることを条件に、ツバメちゃんは練習試合の数合わせとして1週間だけバスケをする約束をします。

アイビス先輩から「ドロップステップ」を教えられ、それだけを反復練習し、練習試合に挑みます!

作品のメッセージ

人生多様であるが
あるがままに肯定してゆく度量が必要である

1話冒頭モノローグで書かれているように、メッセージはこれなんですよ。
バスケに限ったことではなく「あるがままに肯定してゆく」ことが大事なんです。史書、古文、詩などで書かれていることは、一見当たり前で普遍的なことですが、そういうことほどできそうでできません。だから、先祖から脈々と教訓として受け継がれて残り続けていくわけです。ただし対をなすように、否定し抗い立ち向かっていく…それもまた人生です。

本人がコンプレックスと思っているわけではなさそうですが、身長が高いことを、手足が長いことを肯定するのです。だって否定しても変わることはありません。
それに誰もが望んで手に入れられるものではありませんし、努力しても手に入れらない天から与えられた才能なのだから、肯定し、彼女の武器にすべきです。

運動神経が悪いことも肯定するんです。ツバメちゃんは身長が高いこと気にしてるのではなく、運動神経の悪い自分を気にしています。身長高くて目立ちたくないとか、デカ女と呼ばれるのがイヤだとか、己の身長を呪いたくなるようなトラウマはなさそうです。
運動神経は本人の気持ちと訓練で改善できる部分があるので、今は運動神経が悪いと肯定して、初心者として一歩一歩バスケを楽しんでいって欲しいです。

アイビス先輩に声をかけられてバスケすることになったことも肯定し、楽しかったという気持ちも肯定していくんです。ツバメちゃんはアイビス先輩に懐いていて、バスケを楽しいと思っているので、その気持ちを素直に肯定していき、バスケを楽しんで続けて欲しいです。
いつかはアイビス先輩の方が先に卒業するので、次はツバメちゃんが誰かにバスケの楽しさを教える側になって欲しいものです。

バスケじゃなくても別にいい

ツバメちゃんならバレーボールやあらゆるスポーツで有利となる身長を持っています。なので別にバスケじゃなくてもよかったはずです。アイビス先輩がバスケをやっていて、ツバメちゃんをバスケに誘ってくれたからバスケなんです。アイビス先輩がバレーボールをやってたら、ツバメちゃんはバレーをやってたんです。スポーツとの出会いって、こんな感じで運要素が強いんです。

親がやってたから、兄や姉がやってたから、友達から誘われたから、身近に習い事がそれしかなかった、そんなものです。なるようになる、あるがままです。

アイビス先輩の着物姿のために

ツバメちゃんがバスケをする最初の動機は、「美人の先輩に着物を着てお茶してもらう」というものでした。まぁスポーツ、バスケとは全く関係ありませんね。でも何かを始める理由はそんなもんです。崇高で、立派なものである必要なんかありません。楽しいのであれば、続くのであれば、当人が頑張れる理由なら何でもいいんです。

初心者視点がいい

初心者であるツバメちゃんの視点でバスケが描かれるので、バスケ素人読者的にはありがたいです。小難しいルールで頭が混乱したり、テクニカルな技を連発して素人を置いていくことはありません。1話のツバメちゃんは「ドロップステップ」にだけ集中していて、読者も「ドロップステップ」を覚えます。

バスケ初心者の読者とツバメちゃんの目線が揃うことが、この作品の最大の魅力だと思います。5巻で第一部完となりますが、1~5巻をしっかり読んでおきます。

これにて、バスケマンガの第1話にどんなメッセージが込められているか考えるシリーズは終わります。

1作目: SECOND BREAK!!

2作目:B-TRASH

3作目:つばめティップオフ!

4作目: Deep3