風間竜一 かざまりゅういち
右シェイク
裏ソフトドライブ主戦オールラウンド型

【タイトル】
 ピンポン
【著者】
 松本大洋 (Matsumoto Taiyou)
【出版社】
 小学館
【刊行情報】

 1~5巻(完)

海王学園の風間選手

風間選手といえば、
やっぱり試合前に便所に籠る選手のイメージです。
監督の話ぶりから察するに、
世間からのプレッシャー
勝利へのプレッシャー
卓球からのプレッシャー
360度あらゆるところからのプレッシャーに押し潰されないように、逃げるために、精神を統一させるために籠ってますね。

風間選手は、
強者しか感じ得ない、
強者しか理解できない世界で、
永遠に解決できない満たされない世界
そういう孤独と戦っているのです。
だから、自分と同じステージまで上がって来れる力を持つスマイルを、海王に引き入れたかったのだと思います。孤独を潤す仲間が欲しかったわけですよ。

スキンヘッド

海王の選手は、頭髪も眉毛も剃り落としてます。
その中でも圧倒的に似合っているのが風間選手です。
頭髪と眉毛を剃り落とすのは気合以上のものを感じ、強豪校のスパルタイメージにはピッタリです。

でも本当の狙いは、風間選手の表情を読者に読み取りづらくさせるためにそうしたのだと思っています。
眉毛って表情を表すうえで結構大事なパーツだと思いませんか?私としては、風間選手の表情って、恐く見えますし、恐がっているようにもみえるんですよね。
「強豪校のとんでもなく強くて恐ろしい選手」であり「プレッシャーに今にも押し潰されそうなくらい恐がっている選手」なんです。

あとは単純な疑問としては、髪も眉毛が無いって、汗とか目に入って大変そう…。

実力は本物

風間選手は、卓球大国からの留学生である孔選手を捻り潰したので、実力は本物です。当たり前のようにインターハイ個人戦で優勝しています。
向かうところ敵なしという言葉がピッタリなのですが、この時点での風間選手の1番の敵はプレッシャーです。

目の前の孔選手じゃなく、それよりも遥かに強く大きいプレッシャーと戦い続けているのです。そんな風間選手に、日本をナメて卓球をしている孔選手が勝てるわけがありません。

実はあんまり主将に向いてない

風間選手が籍を置く海王学園高校の卓球レベルは、彼を満足させるものではありません。
スマイルに対して
「使えない愚図ばかりで話にならない」
「自覚が無い分なおさら質が悪い」
などと言い放っています。

雑誌の取材でもチームの総合力の低下を嘆き、レベルの高い選手として月本選手(スマイル)の名前を挙げて、それらの発言をバッチリ記事にされています。

実力は主将にふさわしいかもしれませんが、チームの統率者である主将としては、ちょっといまいちです。
風間選手がとれだけ強い選手だとしても、彼の発言は、海王学園の代表の発言になるんです。学校の看板を背負うことになるので、高校生だとしても忖度しなければならないのです。SNSが盛んな今であったら賛否両論で大炎上すると思います。

海王が実力で主将を選んでいるのか、監督が風間選手のリーダーシップを育成するためにあえて選んだのか、そこまではわかりません。でも個人的には後者の理由を推したいです。風間選手が世界で戦う選手となり、日本を背負っていくリーダーになるためには、海王の主将くらいなんなくこなして欲しいという想いが、監督にはあったはずです。

佐久間がスマイルのもとへ試合をしに行ったときは、負けることを察知し、去る者は追わず、冷徹に佐久間が退部することを受け止めました。風間選手は佐久間の抜けた穴を埋める人材を見つけることを課題としました。去る1人のことよりも、海王が名門として復活のためにどうするかを考えたところだけは主将らしかったです。

スマイルの引き抜きが失敗して、監督から佐久間への想いを聞いて、「できればお前も、同じ気持ちであって欲しいと願ってる。」と言われた時、風間選手はどんな気持ちだったのでしょうか?監督がそんなことを言っているから名門は復活しないと思っているのでしょうか?それとも、多少は佐久間への想いを巡らせていたのでしょうか?

便所に籠っている自分が本当の自分

便所に籠って佐久間と話をしていた風間選手は、自分のために卓球をしてると言ってます。そして便所から出て副部長と話をしていた風間選手は、チームのために卓球をしてると言います。前者が本当の風間選手であり、本当は海王学園とか、主将とか、名門復活とかどうでもいいんですよ。

小さいころはそんなこと関係なしに卓球を楽しんでいたと思うのですが、強くなっていき、大会でも勝つようになり、もう純粋に卓球だけ楽しんでいられなくなったんですよ。応援され、期待され、裏切るわけにもいかず、色々なものを背負わないといけなくなったのです。

そんな卓球がとにかく辛い。とにかく虚しい。
だから試合前の便所にいるときだけは、それらから解放されたいんです。でも時がきたら便所という狭い自分の世界から出て、海王学園主将の風間選手にならなきゃならんのです。

苦痛の卓球

風間選手とペコとの試合で、監督目線から彼の苦悩が一気に語られます。あくまで監督目線なので、本当にそうなのかわかりません。

父からは自分の勝利が宿命だと教え込まれ、
常に勝つことが憂いとなり、
賞賛が雑音と苦痛に変わり、
勝ち続けた分だけ重圧は増え、
孤立は加速し、
苦悩は大きくなり、
努力と勝利は無味乾燥
こんな状況でもなぜ卓球を続けるのか悩み、
やがては隙となり負ける
だが負けることは許されない
という具合に強者にしかわからない世界の話です。

ペコとの実力の差が開き始め、点差が開き始め、しばらく忘れていた挑戦者としての気持ちを思い出し、卓球を楽しみ始めていたと思います。負けが見え始め、勝ち続けるプレッシャーから解放され、卓球の楽しさを思い出し、負けてプレッシャーから完全解放されて、卓球の素晴らしさを完全に想い出しました。風間選手にとっては負けて手に入れたといいますか、負けて取り戻したものが大きかったと思います。

引き際こそ美しくあれ

ペコをヒーローと認め、敗北も認めます。次第にペコとの差が広がっていきますが、決して試合を捨てたわけではありません。むしろ負けを認めてから、風間選手の卓球も進化し加速していきます。ペコに追いつくことはありませんでしたが、最後の最後まで卓球を心から楽しみ、全力で戦い抜きます。ここの引き際が、ものすごく美しかったです。強者の引き際は美しくあれ!!!

風間選手は大人になっても卓球の世界で生きています。

以前のように殺気を纏った感じではなく、どこか表情が柔らかく楽しそうで、スマイルともなんか友達っぽい感じになってます。ペコに負けてからの詳細は不明ですが、楽しく卓球をしていると思います。世界戦の代表メンバーから外れてしまっても、そこまで絶望してないようですし。まぁさすがに大人になったら髪も眉も剃ることはないようです。

ブログ主は常勝のプレッシャーを感じたことはありませんし、強者同士の異次元の戦いをしたことはありません。なにより卓球は体育の授業でやったことがあるくらいで、専門的なことはわかりません。

ではなぜ風間選手のことをつらつらと書いていったのかというと、便所に籠る気持ちに共感できたからです。

便所の個室って、何人からも邪魔されない空間なんですよ。便所が周りから私を守ってくれるんです。だから逃げるにはいいところなんです。仕事中に心が休まるのは便所の個室だけです。
5分でもいいから便所に籠って落ち着くだけで、だいぶ変わります。そういう人間もいるんです。だから便所に籠っていた時の風間選手の気持ちは、少しわかるんです。

風間選手はペコとの戦いに敗れて、便所に籠る習慣は無くなったと思います。でもみんなが風間選手のようになる必要はありません。便所に籠って保てるメンタルがあるなら、便所に籠りましょう。自分を守るために便所に籠ったことのある人は、卓球を知らなくてもピンポンは読む価値があります。

投稿者

しめさば

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